異例の転身!岩城調教師が勇退、調教助手へ…“経営者”から“裏方”に
3月1日からの“新年度”を前に、5人の調教師が勇退する。その中で、岩城博俊調教師(56)=美浦=は、調教助手として新たなホースマン人生を歩む。厩舎を経営する立場から“従業員”の一人へ。極めて珍しい転身だが、馬への愛着があればこその決断。「まだまだ乗れる自信はある」と意欲を見せている。
一人のトレーナーが、前例のない転身を図る。岩城調教師は、95年に取得した調教師免許を2月いっぱいで返上。3月からは、和田正道厩舎の調教助手として新たなスタートを切る。「調教には最近まで乗っていたから、違和感はない。まだまだ乗れる自信はあります」そう語る目は真剣だ。
経済情勢の悪化やメリット制の導入。厩舎経営を取り巻く環境は年々厳しくなり、今年も5人の調教師が定年を前に勇退する。岩城師は、まだ56歳。定年の70歳まで10年以上あるが、だからこそ“第二の人生”へと足を踏み出せた。
「自分は、経営者としては失敗してしまった。ただ、馬にかかわりたい気持ちはありますからね。牧場や新聞社のお手伝いをしている先輩方もいるけれど、自分には無理。となると、厩舎の中で残るのが一番いい」
使う側から、使われる側へ。立場は180度変わり、肉体的な負担も増える。それでも、すべてを捨てて馬の世界に残ることに決めた。「今までも、調教スタンドでのんびりしていた訳じゃない。調教師だったということで使いづらいかもしれないが、一からやり直すつもりで頑張りたい。快く受け入れてくれた和田先生(調教師)には感謝しています」
トレーナー時代は、重賞を2勝したアロハドリームなどを管理した。「あの馬は癖があってね。気が向かないと走らなかったが、自分が調教して活躍してくれた。いい勉強をさせてもらいました」経験を伝えることで、少しでも競馬界に恩返しをするつもりだ。
「癖馬の扱いは、まだまだできるはず。うまくコミュニケーションを取って、次の世代をサポートしたいですね」決して、ネガティブな選択ではない。新たな旅立ちに、岩城師は目を輝かせている。
◆岩城 博俊(いわき・ひろとし)1952年3月26日、東京都生まれ。56歳。76年に騎手デビュー。89年の引退まで、通算68勝を挙げた。調教助手を経て、95年に調教師免許を取得。97年の中京記念、函館記念をアロハドリームで制した。24日現在、JRA通算55勝(重賞2勝)。
◆調教師からの異例の転身 91年の有馬記念をダイユウサクで制した内藤繁春さんは、定年を迎える直前の00年にジョッキーへの転向を目指し、試験を受けたが、惜しくも不合格。69歳でのチャレンジだった。海外では、ジョン・ヘンズリーさん。米ケンタッキーで開業していたが、俳優に転身。奥菜恵が出演して話題を集めた、昨年公開のハリウッド映画「シャッター」に起用され、渋く、熱い演技を披露した。
◆勇退する他のトレーナー 大和田稔(66)、沢峰次(63)、田子冬樹(62)、中野隆良(68)の4調教師(いずれも美浦所属)が、70歳の定年を待たず免許を返上する。

